オーガニック神話 ~オーガニック化粧品の安全性
「オーガニック」=安全 の神話
最近、「オーガニック」という言葉が世の中を闊歩しています。
「オーガニック」=安全、健康によい、というフレコミで、さらにそこに「おしゃれ」なイメージまでついてきて、まるでファッションのように「流行」しているようです。
しかし、、、
みなさん、「オーガニック」とは何なのか、ご存知ですか?
単なる宣伝文句として使われている「オーガニック」と、本当の「オーガニック」、ちゃんと区別できますか?
「オーガニック」って付いていたら、なんでもグッド!と思い込んでいたら、とんでもないですよ~!
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◆オーガニックって何?
英語でorganicとは「有機物質」を指す単語です。
有機物質とは、生物に関連する物質で、炭素(主成分)、酸素、水素、窒素が含まれるものです。
これを転じて、人工化学肥料や農薬を使わずに育てられた農作物と、その農法のことを言いあらわすようになりました。
日本語では、「有機栽培」と訳されますね。
ヨーロッパやオーストラリアではオーガニック(有機栽培)には半世紀近い歴史があり、オーガニック認定機関が規定のもとに認定を行っています。
ヨーロッパの農業先進国デンマークでは1960年代からオーガニック栽培する農家が増え始め、政府議会でオーガニック規定が制定されたのが1987年。同年、オーストラリアのオーガニック認定機関ACOが設立され、1991年にはヨーロッパの私立オーガニック認定機構エコサートが設立されています。
これに対して、日本は大変出遅れています。オーガニックというアイデアを取り入れることを長年渋っていたかのよう。
日本では、2007年になってようやく「有機農業の推進に関する基本的な方針」が策定されました。
私が住んでいるオーストラリアでは、もう当たり前にスーパーにオーガニック食品がお手頃価格で並ぶようになった頃に、ようやく日本でも制度をつくった、という印象です。
いろいろな理由があるのでしょうが、「日本には有機農作物を育てる土地が不足している」という現実問題が大きかったのではないかと私は推測していま
す。
農薬も化学肥料も使わずに育てるって、とても大変なことです。
手間も労力もかかるし、そのわりに収穫量は少ない。
「狭い土地で、いかに効率よく収穫量をあげるか?」を追究してきた日本の農業にとっては、厳しい注文です。
だから、日本政府はオーガニックを日本に取り入れたくなかったのだろう、と思います。
さらに、農薬や肥料を農家に売って成立している農協の収入源が減ることも、渋ったひとつの理由でしょうね。
ご存知の方も多いでしょうが、農林水産省のオーガニック(有機JAS)認定には、「使っても良い農薬」がリスト化されています。
「ここに掲載された農薬を使っても、オーガニックって認定してあげるよ~」っていう、妥協策なのです。
無理もありません。現実を見たら、仕方ありません。
たしかに、オーガニック認定できない農薬野菜に比べたら、ずっとマシでしょう。
でも、やっぱり、それじゃあ、世界のオーガニック基準と肩並べて「オーガニック」とは呼べないよね?
その一方で、本当の意味での安全で、味もよく、地球にもやさしいオーガニック農作物をつくろうと、努力されている農家さんもたくさんいらっしゃいます。
そういう方たちのなかには、「有機JAS認定」にこだわるより、自分たちなりのポリシーと基準で奮闘されている方も多いでしょう。
信頼のおける農家さんがつくった「自然栽培」や、「無農薬」野菜のほうがおいしい、という話もよく聞きますね。
以上は、農作物のお話。
そして、ここから先は、「オーガニック化粧品」のお話になります。
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◆オーガニック化粧品って何?
「オーガニック化粧品」とは本来、有機栽培された原料素材を使った化粧品のことです。
オーガニック認定機関によって、また、化粧品の種類によっても、その条件は異なりますが、有名どころではヨーロッパのエコサート、オーストラリアのACOなどの機関が、オーガニック化粧品の認定を行っています。
日本には、こうしたオーガニック化粧品の認定機関はありません。
(JASが認定しているのは「農産物と農産物加工食品」であり、化粧品については有機認定はされていません)
つまり、日本では化粧品(食品以外)について、「オーガニック」とうたうことについては制約がないのです。
だから、なんでもかんでも商品ラベルや商品名に「オーガニック」が付いているという、おかしな現象が生まれています。
※ちなみに、オーガニック(有機)とは、有機物質にあてはまるもので、無機質のものに「オーガニック」をつけるのは矛盾しています。
たとえば、「オーガニック・ソルト」とか「オーガニック・ミネラル」なんていうのは、実際には存在しません。
クレイも同様。クレイは鉱物であり、無機質ですから「オーガニック」になりようがありません。
「オーガニック○○○」といった表現がなされるときは、「オーガニックみたいなイメージで、ピュアでヘルシーで安全な○○○なんですよ~」ってことを伝えたいのでしょうが、言葉の定義からは外れています。
E-Conceptionの所在地、オーストラリアのオーガニック認定機関はACO。国政府機関です。
ACOの「オーガニック素材で作られた化粧品」表示の基準は (いろいろな条件がありますが、主なところ)
「オーガニック認定された植物原料が70%以上を占めること」 となっています。
これ、かなりハードルの高い数字なんです。
乳化剤も必要ですし、本当にすばらしい植物油が、単にオーガニック認定を受けていないこともあります。
(オーガニック認定費用がもったいないからと、自然栽培していても認定をあえて受けない農家もいますし、オーガニック認定を受けたものより、認定なしのもののほうが香りも使用感も効果的にもベターなこともよくあります。)
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◆オーガニック認定の落とし穴
「オーガニック認定」と謳いたい化粧品メーカーは、どうにかこの基準にあてはまるようにと、努力するわけです。
書類上の数字を合わせないと、認可がとれないので。
たとえば、オーガニックのアロエジュースをいっぱい入れるとか、オーガニックのさとうきびで作られたエタノールを入れるとか・・・。
その結果、アロエジュースが主成分のローションとか、エタノール(アルコール成分)が20%も入ったクリームとかが出来てくるわけです。
そんなレシピ、お肌にいいわけがない!
アロエはアレルギー起こしやすい素材だし、エタノールばっかり継続していたら、お肌が乾燥して枯れてきます。
(エタノールは保存剤としても有効なので、パラベン等の人工保存剤を使いたくないために、エタノールで代用しているメーカーもあります。が、エタノールを保存剤として使うにはかなりの量が必要で、そんなに入れたらお肌がシワだらけになります・・・)
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◆あえてオーガニックにこだわらない、イー・コンセプション
そういう理由で、イー・コンセプションでは、あえて「オーガニック化粧品」にも、「オーガニック認定」にもこだわっていないのです。
できるだけよい素材を選び、お肌を健康にする絶妙のレシピを開発し、その結果としてフタをあけてみたら 「あら、基準値超えてるわ!」ということがあったら、「オーガニックですよ」とお知らせしているだけ。
だから、「オーガニックじゃない化粧品」もけっこうあります。
「オーガニック」って言えば売れる時代だってことは分かってますが、「オーガニック」にこだわりすぎることによる弊害も知っているから。
オーガニック条件をクリアするかどうかよりも、安全性と効能のほうが大事だから。
イー・コンセプションの商品がすべて「オーガニック」ではないことには、実は、頑固オヤジ的こだわりがあるからなのでした。
JAS有機認定にはこだわらず、自分なりのポリシーをもって自然栽培されている農家の方々のように。
宣伝文句としての「オーガニック」には頼らず、本当に安全でお肌が健康になるスキンケア化粧品をお届けしたいのです!
今日も、小ロットで丁寧に手作りしています。